3月のI’me勉強会は、I'meコンテンツ責任者であり、人の心を動かす資料作成講師でもある、内藤しおりさんをお招きいたしました。しおりさんが“資料作成”というニッチな分野で副業から一家の大黒柱になるまでの裏話を大公開してくださっただけでなく、参加されたみなさまからの質問にもお答えいただきました。その様子をレポートします。インタビュアーはメンター講師の篠田恵(めぐちゃん)です。
大学では理系、野菜の研究をしていました。就職は公務員を目指しましたが、超就職氷河期で試験に不合格。派遣で企業の役員秘書からスタートしました。その時、資料作成を頼まれ「頭の中を形にしてください」と言われ言葉が今でも頭に残っています。その後3人の子どもを出産。子育てしながら時短で働き、2017年に資料作成の仕事で起業しました。
父が「働くこと=生きる事」という考え方の父で私も小さい頃からそれを聞いていましたし、母も小学校の教員として勤め上げた人なので、働くことは当たり前だと思っていました。公務員になれず派遣社員からスタートでしたが、その時の資料作成の経験が今につながっています。2004年に女性起業塾で学んだ経験も、その時はすぐには生かせなかったけれどそこで「時間・場所にとらわれない働き方」を知ったから今の働き方ができていますよね。
資料作成のお仕事の第一歩として、「この人のお手伝いをしたい」と強く思った人のフロントセミナーやお茶会に行って、私のことを「知ってもらう」という行動をしていました。笹木郁乃さんもそうでした。セミナーに参加して、直接「お手伝いさせてください」と声をかけ、そこからお付き合いがスタートしています。
はじめは、実績づくりと割り切って、依頼されたらどんな仕事でも引き受けようと思っていました。ある女性起業家さんにも「資料つくれます」とアピールしたら、100枚のスライドを整えるお仕事を2万円でお願いしますと言われたのがスタートでしたが、その後もお付き合いは続いていて、2回目のお仕事からは正規の料金でご依頼いただいています。
実績をつくるためにも、まずは自分から先に行動することが大切ですよね。
そうですね。ですからはじめのうちは、企業に勤務していた時に作成した役員会議資料や、セミナー資料などを実績として伝えていました。
ありがたいことに、「依頼した内容の汲み取り力がある」とよく言っていただきます。
資料を作る時って、周辺情報を知らないと形にならないんです。例えばセミナー資料を作るにも、その人の情報が頭に入っていないと配色一つとっても決まらない。相手の頭の中を形にすることはできないので、まずはしっかり調べます。
毎月10件くらいの案件を抱えている中で6~7割が継続、1~2割が新規のお仕事です。その新規のお仕事も、継続されている方のご紹介だったり、以前業種交流会などで実際にお会いして名刺交換した方だったりという状況なんです。
秘訣としては、まずは成果が先だと思っているので、第一稿から“一発OK”くらいの完成度で仕上げます。初稿だからとざっくりした中途半端なものを提出すると、修正のやりとりに時間かかって、結局お互いに疲弊するんですよね。自分のせいで相手に時間と労力を取らせてしまうことになるので、初めから自分の中のベストを出すようにしています。
そこがありがたいとよく言われますね。
資料作成は単発依頼が多くて、ご紹介で仕事をいただいているとはいえ、なかなか収入が安定しなかったんです。その時に、伸びる方ほど資料もブラッシュアップされていることに気づいて、資料って常にブラッシュアップしていく必要があるものだって気づいたんです。
それなら継続してお手伝いするプランを作ればいいんじゃないかと思って、携帯電話会社の料金プランを参考に、資料の枚数によってお手伝いした分の金額をいただくプランを考えました。単発でご依頼いただくよりも1枚の単価は低くなるので、1回でいただく金額は少なくなるのですが3カ月以上継続していただくことをご提案しているので、トータルで考えるといただく金額は高くなります。ここから安定的に売り上げが伸びましたね。
Q : サポート起業を考えてPRや資料作成を勉強しています。実績を作るのが重要なことはわかっているのですが、過去の経験が必要だと思うと自分には何ができるんだ?と悩んでしまいます。
A : 私も資料作成を初めて仕事にしたときは、周りに資料作成一本で仕事している人がいなかったので怖かったです。だけど、私がそこで一歩踏み出したのは、その当時、セミナーなどに参加すると、その人の魅力と資料があまりにもかけ離れていることが結構あったんですね。「これは困っている人が結構いるな」と感じたので、「こういう人の役に立ちたい」と思ったからなんです。
確かに過去の経験を実績としてスタートする方も多いと思うんですが、それ以上に私みたいに「絶対困っている人がいる」とか「こういう人の役に立ちたい」そういう自分の中から湧き出てくる想いって、すごい大事だと思うんですよね。その想いがブワッと湧き出てくる瞬間やことをお持ちでしたら、それを原動力にして動かれたら絶対相手に伝わるんじゃないかなと思います。
Q : サポートタイプなのですが、器用貧乏で何かお手伝いするとなんでも屋さんになりがちで絞りたいなと考えています。しおりさんが資料作成に絞った理由は何ですか?
A : 私も初めのころは事務屋さんでいろいろ事務局的なことも引き受けていたんですが、やってみて本当にお客様に貢献できるのは「資料」だって気づいたんですね。いろいろ引き受けてみたら、全部にエネルギーを注いでしまって、資料作りの質が落ちたように感じたんです。「これは本当に得意なこと以外は手放さないとお客様にとってもマイナスになるな」というところで資料作成に絞りました。
Q : 資料に絞ったのは、お客様のお声が多かったからですか?
A : そうです!事務的なお仕事、秘書的なお仕事は私以外に能力が高い方がいっぱいいるなと思ったんです。だけど資料作成は、私以上にできる方はその当時いなかったので、そこに集中しました。
とはいえ自分では評価は分からないので、お客様に必ずフィードバックをいただくことで自信がついていきました。最初のころは納品したら、請求書とともにすぐアンケートをお渡しして「実際にご依頼してどうでしたか?」という問いに答えていただいていました。
Q : 郁乃さんも絶大な信頼を置くパートナーとおっしゃっています。紹介してくださいと言わなくても、紹介したくなる人なんだろうなと思っています。意識されていることはありますか?
A : 確かに自分から紹介してくださいとお願いしたことはないです。毎回毎回の資料作成でベストを尽くすというところに限るんですけど…そこを積み重ねているという感じです。